ボール 

ずっと気になる子がいる。


とにかく他の子に対してふっかける。わざと。

自分を自分で心地悪い位置へと運ぶ。


彼は言う。

何度もそのセリフは聞かされた。


『俺なんかどーせ嫌われてる。保育園の時から嫌われてるよ。』




自覚してる分なおさら始末が悪い。
自分を自ら追い込んでゆくんだ。


あたしも毎回同セリフを彼に頭っからゆっくりとかける。



『せんせーは好きよ。大好きだよ。』


ぎゅーっと抱きついてくる彼。
手を離さない彼。

小さな声で....... ずっとここにいて。一緒にいて.........


そんな彼の気持ちを彼のママはどれだけ理解しているだろうか。



他のせんせーからの声は

「何聞いても、お前には言わん!とか言う。かわいくないよなー!」
「ほんとにどーもならん!」



心の声を言ってもらえる大人にならないと。

そうじゃないと発信できない。

いや、もし発信してたとしても受信できない。




ボールは投げる姿を見ててこっちに飛んでくると読んで
予測してそれで初めて構えられる。

そうでなかったら
どこから飛んでくるのか
どこへ飛んでいったのか
それ以前にボールが空中を飛んだことさえ
ボールの存在さえも知らないことにもなる。


そんな誰の目にも入らなかったボールは
投げられたまま誰の目にもふれることなく
転がったままになって
いつか忘れ去られてしまうことにだってなる。

遠くへ投げれば投げるほど
投げた本人さえも取りに行く気力もなく放置し
迎えにこないボールはひとり淋しくその場所に佇むしかない。


相手あってのキャッチボール。

ひとりのボール投げほど淋しいものはない。



心を交し合うほど嬉しいことはない。







[2008/05/12 08:35] 日常 | TB(0) | CM(0)

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